設計事務所としての取り組み

適正な建築費

原価による工事費の見積書を提出します


住宅の建築費は8桁、数千万円でかなり高い買い物と言えます。車を買うときはディーラーを回り詳細な見積書を提示してもらって、不要なものを削り必要なものを付け足したりと検討をするものです。
建築費も全く同様であると考えています。建て主さんに納得していただけるよう、当方と協働関係(※1)にある施工会社には仕入れ価格や支払い原価を正直に見積書に記載してもらっています。
例えばキッチンや浴室などは、メーカー見積りの30~50%程度値引きされるので、その金額が見積書に記載されることになります。
家づくりの何にどれだけの費用がかかっているかを正確に知ることでコストコントロールが容易になり、工事費が目標額を超える場合は何をどのくらい仕様変更すればよいか、逆に予算に余裕が出来た時にはどこにちょっとした贅沢が出来るかなど、検討しやすいと言えます。
 

 

 
 
また仕入れ価格は施工会社によって違いがあり、住宅設備関係は安く仕入れられても建材類はそれほど安くない・・・など、ばらつきがあります。
原価が分かることで、例えばキッチンは値引き率の良いメーカーを選択するのか?あるいは性能を優先させるのか?という選び方が可能です。フローリングも時価みたいなものがあり、同じような材種の木でもその時に安いものを選択することも可能です。
工事の難易度が高い場合は大工工賃や管理費が高くてもあえてその施工会社を選ぶこともあり、コスト重視の場合はオールランダーで一通りの仕事が無難にこなせる会社が良いこともあります。
見積りの原価を知ることで施工会社ごとの強みを生かした設計をすることが出来、それが建て主さんの利益につながります。
施工会社には適正な利益を得ることで健全な会社経営を続け、将来のメンテナンスも責任をもって続けてもらう必要があります。とはいえ過剰な利益を上げていては建て主さんの利益にはなりません。
そこで施工会社の経費(粗利となる金額)を16.5%程度となるようにしています。経費率は狭小住宅や規模の大きな住宅の場合はそれに見合った金額となるよう調整しますが、いずれにせよ見積書にしっかり記載し説明しています。
 

  

 
 
原価見積りの一番のメリットは、建て主さんに価格通りの建物を引き渡すことができることだと考えています。
原価が分かることで無駄な作業を見つけ出し、除くことが出来ます。通常より高い職人さんの手間費(労務費)が入っていれば理由を確認し、簡単な作業を難しいものと勘違いしていれば、より現実的な費用に下げてもらいます。
工事中に建て主さんの要望で追加工事が発生した場合には、サービスとして施工会社に押し付けずその都度見積もりを作成し、建て主さんの了解を得てから追加工事を実施します。
見積もり金額はもちろん原価を表示します。もちろん、ちょっとしたサービスはありますが・・・公平な見積りにより必要な工事費を確保するので、共働関係にある施工会社は予算不足になることを恐れて予備費を確保する必要がなくなります。
何年もそうして来ていて協働関係にある施工会社は当方の方針に応じてくれています。それが結果的には建て主さんのメリットになっていると考えています。
 
※1 後述の『施工会社との協働』をご覧下さい